自律訓練法とは
自律神経は全身にくまなくいきわたっており、交感神経と副交感神経が互いに調整しあいながら全身のバランスを保っています。しかし、急激な身体的・精神的ストレスや、慢性的なストレスが加わると、そのバランスが崩れ、さまざまな症状が出てしまいます。食欲不振、不眠、頭痛、動機、胃痛、便秘や下痢などの身体症状はもちろん、不安感や焦燥感、イライラなどの精神症状が出ることもあります。
自律訓練法は、このようなバランスの崩れを回復させる、誰にでもできる練習方法です。段階的に構成された公式言語を用いて自分自身に暗示をかけると、緊張がほぐれ、リラックスします。このとき、自律神経系の副交感神経が活発に働くようになり、身体の自然治癒力が高くなって、さまざまな症状の治療、緩和、コントロールに役立ちます。1日3回、3〜10分の練習を続けることで、心身ともにリラックスした状態を、自分でつくることができるようになります。
はじめる前に
自律訓練をはじめるときは、環境・時間・姿勢を整えるようにします。
また、服装は、身体を締め付けるものがない楽なものがよいでしょう。
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環境 |
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音や光の刺激の少ない、静かな場所が望ましいです。 |
A
時間 |
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急ぎの用事、空腹時、トイレに行きたい時はさける。15分程度、落ち着いて時間が取れるときに行うのがよいです。 |
B
姿勢 |
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姿勢はイス、リクライニングチェア、臥位、いずれでもよいですが、応用の利く、イス姿勢での練習をお勧めします。 |
呼吸調整
受動的注意集中
公式言語と解除公式
公式言語
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解除公式
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背景公式 |
気持ちが落ち着いている |
(1) |
目を閉じたまま両手を握ったり開いたりします |
第1公式 |
両手両足が重たい |
第2公式 |
両手両足が温かい |
(2) |
両腕の曲げ伸ばしをします |
第3公式 |
心臓が静かに規則正しく打っている |
第4公式 |
楽に呼吸をしている |
(3) |
大きくゆっくり伸びをして、最後にゆっくり目をあけます |
第5公式 |
お腹が温かい |
第6公式 |
額が涼しい |
練習方法(第2公式まで)
- まず、環境を整えて姿勢をとり、肩の力を抜いて軽く目を閉じます。力が入っているところがあったら、少し動かしてほぐします。
- 自分がくつろいでいるところ、リラックスしているところを頭の中でイメージします。
- 深呼吸をして呼吸を整えます。ゆっくり鼻から息を吸って、口から細く長く
吐いていきます。4回ほどこの呼吸を繰り返しながら、身体の力を抜いていきます。
- 呼吸が整ったら、頭の中で公式言語を繰り返します。背景公式「気持ちが落ち着いている」を3回繰り返します。
第1公式は、まず右腕に注意を向け、「右手が重たい」を3回、次に「左手が重たい」、右足、左足と別々に3回ずつ暗示をかけます。
第1、第2公式は、左右の差がなくなってきたら「両手両足」とします。背景公式は途中や終了前に繰り返すと効果的です。
- 最後に「両手両足が重くて温かい」を繰り返し、背景公式も繰り返します。ゆったりとリラックス感を味わったら、解除動作をはじめます。
*練習のコツ
リラックスしよう、気持ちを落ち着けようと言い聞かせないことが重要です。体の変化を待つつもりで、ゆったり構えていればけっこうです(受動的集中)。
忙しい生活の中では、リラックス感を忘れていることもあります。
まず、形式を覚えること、何回か練習を繰り返すことから始めてください。
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